第185回 TMC ALL STARS「TMC Graffiti」

TMC Graffiti

TMC Graffiti


昔の作品をぼーっと眺めていたら、懐かしい作品を見つけました。RIP SLYMEDragon Ashスケボーキング、ミサイルガンスクート、そしてラッパ我リヤという、今考えれば不思議なメンバーが集まったのがTMC ALL STARSです。RIP SLYMEラッパ我リヤでは、今や路線がかなり違いますから、たとえ「ヤバスギルスキル」シリーズでも共演は想像できません。


私はDragon Ashは今はHIPHOPではないと思いますが、やはりHIPHOPのリスナーを増やしたという意味では、やはり貢献したと思いますし、日本のHIPHOP史に刻まれると思います。


Dragon Ashの音楽の変遷を見てみると、いろいろ変化していることがわかります。「Let yourself go,Let myself go」くらいからHIPHOPを意識しはじめたようで、「Summer Tribe」くらいの時期は私も好きです。ちなみに、この作品にラッパ我リヤがいるのは「Deep Impact」つながりでしょう。


Dragon Ashは、その時やりたい音楽をやるという方針だったのかも知れませんが、それが昔からの現場たたき上げのアーティストから見れば納得いかないのも当然です。しかも、Dragon Ashの作品は売れている。


その後、Dragon Ash(kj)に対して、実に多くのdis作品が生まれました。代表的なのは、キングギドラの「公開処刑 feat. BOY-KEN」です(『最終兵器』収録)。過去に「Grateful Days」で共演したZEEBRAがkjを名指しでdisった、まさに問題作ですが、対するkjが明確なアンサーソングを出さなかったので、すかされた感じに終わってしまいました。


しかし、多くのdis作品のおかげかどうかわかりませんが、こういったアンダーグラウンドのアーティストの作品に一気に注目が集まり、結果的には、日本のHIPHOPが活性化したのは否定できないと思います。


Dragon Ashはその後、HIPHOPを意識した作品を出さなくなり、まさに台風のように去っていきました。最近は、m-floと共演したりしていますが(「WAY U MOVE」(『ASTROMANTIC(CCCD)』収録))、特にまたdisの対象になっているということはありません。今となっては、ただの過去の一事件としてとらえられているようです。


この作品は、人気だったDragon AshRIP SLYMEが参加しているので、相当CDがリリースされたと思いますが、今では不思議と見かけません。