第346回 V.A『STILL GROWING』

STILL GROWING

STILL GROWING


GUERRILLA GROWING PLUTINUM』から4年、DJ TANAKENによる、久しぶりのワンウェイ・トラックアルバム第二弾です。ワンウェイ・トラックとは(ほぼ)同じトラックを使って、異なる曲を作り出すもので、レゲエでは多く使われている手法ですが、とりわけ日本のHIPHOPでは少ないです。それこそ、DJ TANAKENのワンウェイの第一弾アルバム『GUERRILLA GROWING PLUTINUM』が日本初と言われているようです。


MACCHOやDABO、走馬党つながりでラッパ我リヤなど、前作から引き続き参加しているメンバーもいますが、第二弾はさらに新鮮な顔ぶれです。レゲエ界からKEN-Uが参加したり、R&BシンガーTinaの歌もので勝負した「CONFIDENCE」も面白い試みです。
前作と比べて、トラックがすっきりしていて、一曲あたりの時間も短いので、メンバーが豪華な割にはさっぱりと聴けます。
私が驚いたのは、DELIとBIG RONの共演作「GROWSHOW」。この二人を組み合わせたらどうなるか、考えたこともなかったコンビですね。このトラックなら、参加メンバーの中でいちばん声質が合っているのがDELIと言ってよく、さらに、BIG RONとのカラミが、初めてとは思えないくらい合います。
前作と同じく、MC仁義はIntroのみの参加ですが、せっかくですから、曲で参加してほしかったですね。キャリアは長いですが、変わらずいい声ですね。


歌詞カードは、おそらくアーティスト本人が書いたものだと思いますが、ラッパーの字は汚いと思うのは私だけでしょうか。自筆のリリックをそのまま載せた歌詞カードは他の作品にもありますが、いつも汚いですね。殴り書きといえばそれまでなのですが、紅一点のTinaの字が、それはそれはキレイな字です。
リリックに難しい四字熟語を使ったりするので、HIPHOPアーティストは世間の予想に反して勉強ができるのかと思っていましたが、ちょっと考えさせていただきます(笑)。漢字の間違いが多いですね。


念のため、誤解ないように書いておきますが、有名大学を卒業したHIPHOPアーティストもたくさんいますので、全部が全部、勉強ができないと思ってはいけません。そもそも、勉強ができるできない、とラップの才能は別の話です。