第186回 CRAZY KEN BAND「夜のヴィブラート feat. RHYMESTER」

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普段、日本のHIPHOPばかり聴いている私ですが、他のジャンルの音楽を否定しているわけではありません。音楽的センスが良かったり、歌がうまかったりすると、やはりある種の感動を覚えますし、すごい人(たち)だなと素直に思います。


CRAZY KEN BANDもそんなアーティストの一つです。考えてみれば、こんなグループが日本の音楽史に今まで登場していなかったのが不思議です。はじめて曲を聴いた時に「あれ?そういえば、こういうことやってきた人いなかったな」と思いました。


音楽のセンスも抜群に良いですが、音楽に対してものすごく謙虚な姿勢が伝わってきて、好感が持てます。「売れなくても、自分たちと聴いている目の前のお客さんが喜んでいてくればいいや」という姿勢も窺えます(私の想像ですが)。実際、多くの人たちに知られるのもだいぶ時間が経ってからのようで、どこかアングラな感じもにおいます。


CRAZY KEN BANDRHYMESTERの共演と言えば「肉体関係 part2 逆featuring クレイジーケンバンド」が挙がりますが、逆の逆に(つまりは、普通に)CRAZY KEN BANDのアルバムにRHYMESTERが参加したのが「夜のヴィブラート」という“いかにも”なタイトルの曲です。昭和歌謡のムード漂う、言ってみればCRAZY KEN BANDのフィールドなのですが、さすがにRHYMESTER。うまく調和しています。このトラックに違和感なく入り込めるのは、日本各地にいろいろHIPHOPアーティストがいれども、RHYMESTERUZIくらいでしょう。