第309回 HOTEI vs RIP SLYME「BATTLE FUNKASTIC」

BATTLE FUNKASTIC

BATTLE FUNKASTIC


この曲は、布袋寅泰の「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY」(映画『キル・ビル Vol.1 [DVD]』などでおなじみ)とRIP SLYMEの「FUNKASTIC」のマッシュ・アップMASH UP)作品です。


最初、私はマッシュアップといわゆる大ネタを使ったRemixとどう違うのか、よくわかりませんでした。「FUNKASTICBATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY Remix)」と何が違うのか、と。だったら、例えば、『燃えよドラゴン [VHS]』のテーマをサンプリングした、ラッパ我リヤの「Enter the 我~燃えよ!我リヤ~」もマッシュアップと言えないのだろうか、と。


この違いは、もともと一曲として存在している同士を足して新たな作品を作るか、そうでないか、になると思います。「Enter the 我~燃えよ!我リヤ~」は、すでにラッパ我リヤ側の曲が、一曲として存在していたわけではありません。『燃えよドラゴン [VHS]』のテーマが先にあって、その後に、ラッパ我リヤがリリックを書いて、「Enter the 我~燃えよ!我リヤ~」という作品ができたのです。


知っている人には当たり前のことを書きましたが、それでも、私はマッシュアップの存在意義にちょっと疑問を感じます。確かに、先に挙げた違いがあるのですが、実際にマッシュアップと大ネタを使ったRemixを聴いた感じは、さほど変わらないのではないでしょうか。
BATTLE FUNKASTIC」を聴いて、トラックに「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY」が使われているなと思うのと、「Enter the 我~燃えよ!我リヤ~」を聴いて、トラックに『燃えよドラゴン [VHS]』のテーマが使われているなと思うのと、それほど劇的に変わらないと思うのですが、どうでしょうか。


とはいえ、日本のHIPHOPに限らず、J-POPでも、マッシュアップ作品はまだあまりないため、これからの音楽の可能性が広がることについては、期待しています。
日本語ラップクラシックが意外な曲とマッシュアップされて、意外な仕上がりになったりするとしたら、とても面白いと思います。


今回は、布袋寅泰名義の方を挙げました。RIP SLYME名義の作品は『Hot chocolate』に収録されて、タイトルも「FUNKASTIC BATTLE」に変わります。
曲はほとんど同じですが、ちょっと違います。ギターの感じが「BATTLE FUNKASTIC」の方がより出ているので、こっちを挙げました。
マッシュアップもですが、布袋寅泰というロックスターをHIPHOPにひきずりこんだことも評価できます。