第408回 DJ MASTERKEY『THE ADVENTURE OF DADDY’S HOUSE』

ADVENTURE OF DADDY’S HOUSE

ADVENTURE OF DADDY’S HOUSE


今回は悩みました。
DADDY’S HOUSE VOL.1』から『DADDY’S HOUSE VOL.3』の三部作に、『DADDY’S HOUSE BEST』というベスト盤まで出ているのに、今度はMIX CD『THE ADVENTURE OF DADDY’S HOUSE』がリリースされました。
私はvol.1から聴いているので、正直、新鮮味はありません。
ただ、「DADDY'S HOUSE」シリーズを一作も聴いたことのないという人やDJに興味ある人、MIX CD(TAPE)というものをあまり聴いたことのない人はオススメです。
1枚のCDに20曲近く収録されていて、演奏時間もたっぷり約80分、2枚組みで2500円というのは買いでしょう。決してすべての曲が収録されているわけではありませんが、”ほぼ”すべてと言っていいくらいのボリュームはあります。


私はあまり生でDJ PLAYを観たことありませんし、MIXものもそんなに持っているわけではないので、中身より、「DJのMIXものを作る仕事振り」が気になりました。曲をただ寄せ集めればいいのではない、というのがよくわかります。曲順や、曲と曲のつなげ方も勉強になります。「HIP HOP GENTLEMEN feat. MUMMY-D, 山田マン, BAMBOO」と「HIP HOP GENTLEMEN feat. MUMMY-D, 山田マン, MINESIN-HOLD」なんか続けて行きたい気もしますが、あえて(?)DISC 1とDISC 2に分けています。


私が驚いたのは、シャウトアウトと呼ばれているアーティストのフリースタイル。結構な数のアーティストが、新たにフリースタイルで登場してきます(電話っぽい人もいますが)。曲のリストを改めて見ると、三作品でたくさんのアーティストが参加しているなあ、と思いますが、MURODS455のKAYZABROまで新たにフリースタイルで登場するとは、さすがにDJ MASTERKEYというネームバリューと言えるでしょう。人徳や人脈の広さを感じます。


常々ベスト盤の是非を書いてきていますが、ベスト盤が出て、さらにMIX CDまでリリースされてしまったので、今回は紹介するか迷いました。私は上記のような理由で楽しめましたが、DADDY'S HOUSEシリーズは有名なので、三部作全て聴いている人も結構いると思うのです。しかも、過去の作品はレンタルもできるし、中古でも比較的安く買えます。
ベスト盤を手に入れてない人は、『THE ADVENTURE OF DADDY’S HOUSE』の方がオススメです。そして、気に入るような曲があれば、オリジナルに戻りましょう。「NO DOUBT feat. BOY-KEN」(『DADDY’S HOUSE VOL.2』収録)みたいに、今回収録されていない曲もありますし。
「じゃ、最初からオリジナルを聴けば?」と私も一瞬思いましたが、この『THE ADVENTURE OF DADDY’S HOUSE』はあくまで「DJの仕事を知る」点で、意義のあるCDです。
最後まで踏ん切りが悪くて恐縮ですが、そういうことで納得してください。決して悪い作品ではありませんから。


細かいことですが、「PARTY ALL NITE... (HOW WE ROLL)」はDJ KAORIのMIX CD『DJ KAORI'S "RIDE" into the MIX』に収録されている[REMIX]の方が採用されているのはちょっとポイントが高いです。これは、オリジナルよりMUMMY-Dがラップが冴えわたるRemixの方がいいです。