第407回 TWIGY『TWIG』

TWIG

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今年は大御所から中堅アーティストまで、こぞってアルバムを発表していますが、活動開始から20年目のTWIGYのアルバム『TWIG』は、まさに20周年記念式典みたいな豪華な仕上がりになりました。ZEEBRAのアルバム『The New Beginning』もなかなか豪華なメンバーで面白かったですが、ZEEBRAが陽なら、TWIGYは陰の作品と言えるでしょう。この二枚で、日本語ラップのかなりのパーセンテージの部分を語れると思います。


YOU THE ROCK★G.K.MARYANなどの雷家族はもちろん、『LOVE or HATE』で共演したHI-D、相性ばつぐんのKeycoをはじめ、加藤ミリヤZEEBRA、D.L(DEV LARGE)、BOY-KEN、UZI、565、HAB I SCREAM、般若、MACKA-CHINなどがフィーチャーされています。
それだけでなく、いわゆるINTERLUDEの部分に、あっと驚くようなゲストが何人か登場します。ネットで調べれば誰が参加しているかわかるでしょうが、この驚きを体験してもらうために、このブログではあえて書かないようにしておきます。ケースや歌詞カードなど見ずに、いきなりCDを聴いてみてください。
ちなみに、「MASS対CORE」(『ホームシック』収録)で共演しているECDが、歌詞カードに文章を寄せています。歌詞カードまで豪華です。


1, Twig
「あれ?CD入れ間違えたか?」と思うほど、イントロからいきなりTWIGYではない人のラップが始まります。私は全然身構えていなかったので、ほんとに一回CDを出しました。ほぼ何のフォローもなく次の曲に進みます。
2, Righ' Now! feat. YOU THE ROCK★, 加藤ミリヤ
全体に言えることなのですが、落ち着いたトラックです。曲は短く、2曲目ということと他にもゲスト満載ということで少し地味な印象です。明るめのRemixがあるなら、ぜひそちらも聴いてみたいです。このメンバーなら、もっとYOU THE ROCK★を生き生きさせたいですね。
7, U know V
誰もが知っているVが登場します。TWIGYとこの人が共演しているのが不思議です。
9, あ・うん feat. ZEEBRA, D.L, BOY-KEN
ZEEBRAとD.LとTWIGYの三人による曲がこれで3曲目ですが、私が好きなのはZEEBRAのアルバムに収録されているバージョンですね。BOY-KENも参加しているなら、もっと派手に行ってもいいと思いますが、渋いです。大人です。三曲の関係は単にRemixというわけではないようで、この曲のためにZEEBRAは新しく録り直したりしています。BOY-KENのレゲエのリディムに三人が乗るバージョンも聴いてみたいですね。
11, Bomb On Hills feat. UZI, 565, SHINNOSK8, D-LIFE, HAB I SCREAM, 般若
今後このメンバーが再び集結することはなかなかないだろうマイクリレーものです。歌詞カードに歌詞がないのは残念ですが、原因は般若だろうと思わせるほど、般若が余計なことを言っています(いいぞ!般若)。一部、自主規制も入っていますが、そりゃ、歌詞を載せるわけにはいかないでしょう。このタイトルは意味深です。
12, Take It...
このINTERLUDEだけ参加するなんてもったいない!と思うJ-POPファンはどれほどいるでしょう。そんなゲストが1分も満たずに去っていきます。でも、たとえこういう登場の仕方でも、TWIGYのアルバムに参加してくれるこの人の心意気は私は好感が持てます。前曲は刺激物でしたが、ここから、さらに大人のHIPHOPの時間に入り、エンディングに向かいます。
14, いこうよ feat. KEYCO
KeycoTWIGYのコンビは、これで何曲目でしょう。またまた、クオリティの高い作品が出来上がりました。他の曲は受け入れられなくても、この曲は好きという人は多いと思います。日本語ラップ好き嫌いに関係なく、この曲の評価は高いと思います。
15, 願い feat. MACKA-CHIN
MACKA-CHINはプロデュースもやっています。一言では表現できない、よくわからない人なのですが、こういうトラックを作ってしまうのは、やはり「ズルい」と言って良いでしょう。なんでこういうトラックを作れてしまうのでしょうか。TWIGYの持つ雰囲気とあいまって、好事家もうなる出来です。これはいい曲です。『CHIN ATTACK』『CHIN NEAR HERE(通常盤)(CCCD)』とのつながりも窺えます。
17, 明日
この曲はK-LOVEがプロデュースしています。これまでのTWIGYプロデュースとはまた違った、アルバムの最後を飾るにふさわしい曲です。


曲のほとんどは、TWIGYが自らプロデュースしています。先ほども書いたように、全体的に、トラックはもう少し派手さがあってもいいと思いますが、逆に言うと、それだけTWIGYらしさが存分に出ているアルバムです。特に、後半は、HIPHOPファンだけに限らず、多くの音楽ファンに受け入れられる曲ばかりです。TWIGYが天才と言われるゆえんがわかる気がします。