第628回  Shing02「星の王子様」

緑黄色人種

緑黄色人種


今回は、たくさん書きたいことがあって、まだ頭が整理できてない状況ですが、頑張って書こうと思います。


そもそもの話から。
Shing02は、このブログに一回も登場しないのはそれもそのはず、私が聴かず嫌いだったためです。
いろんな感想を見たり聞いていると、これは高尚すぎて私には合わないのでないかと。
Shing02は究極のHIPHOPだが、果たして究極にたどり着いていいものかと。
一度、『「歪曲」新来』を聴いたのですが、やっぱり「Shing02はよくわからん」という感想で、それ以来、彼の作品に出会うことはありませんでした。
Shing02がごく限られた人間としか客演しないというのも、客演作品好きな私には、なかなか出会うきっかけもありませんでした。


そして、最近になって、びっくりしました。
あのShing02がなんと、BIG Zと曲を作るとは。
Ita-choのアルバム『It’s My Thing(Eat Meat To The Beat Productions)』中の曲「Survival Mode」で、なんとBIG ZとShing02がフィーチャリングされているのです。
この話は誰もが驚いたはずです。「なぜ、BIG Z?」と思った人は私だけではあるまい。
これはいいきっかけだと思い、ちょうど『緑黄色人種』に出会ったこともあって、聴いてみました。
再び挑戦です。


まず、トラックでいうと、普通でした。あれ、普通のHIPHOPだな。
なんかもっとワケのわからん、リピートしてヘッドホンで聴き続けたら、頭がどうにかなっちゃうトラックじゃなかったのです。あれ、こんな音楽だったっけ。
リリックも普通。確かに、文学的な感覚はにおわせるけど、別に普通だよなあ。
まあ、「普通」と書いたのは否定的な意味では全くなく、構えて聴いていた私は今まで何だったのかと、少し拍子抜けしたわけです。


しかし、10分以上にわたる超大作「星の王子様」にやられました。
やっぱり、このShing02すごいです。もうねえ、すごいです。すごい人です。


私には、これをHIPHOPと呼んでいいのかわかりません。もちろん、トラックから言うとHIPHOPです。ただ、リリックはもう立派な文学作品です。小学校ではなく、中学校や高校の国語に乗るような童話です。
意味難解ではありませんし、ストーリーもわかりやすいですが、ところどころの表現は考えさせられるようなものもあります。
これだけ完成された話なので、「あれ?サン=テグジュペリの『星の王子さま』の話か?」と思いましたが、タイトルがタイトルだけにインスピレーションされたものかも知れませんが、話の内容は違います。


月や火星などにいって、王子様がいろいろなものに出会うわけですが、巡る星とその順番にニヤリとしました。なるほど、芸が細かいですね。特に押韻にこだわっているわけでもないので(もちろん、ラップなので多少韻を意識した箇所はあります)、童話の朗読にも聞こえます。
それにしても、一人で10分以上語るのに飽きを感じさせない力もすごいですね。


もう一つ、紹介したい曲があるのですが、それは次回に。