第629回  Shing02「イカルス」

緑黄色人種

緑黄色人種


前回(id:dmworldhh:20070307)のつづきです。


そうでした。忘れないうちに書いておきましょう。
なんとこのアルバム、1999年に発表されたものなのです。何ということでしょう。
他の日本人アーティストが1999年にやっていたことを考えると(否定するわけでは決してない)、いかに先に行っていたかわかります。つい最近の作品なのかと思っていたら、もう8年も前のことです。


さて、今回の「イカルス」は、前回の「星の王子様」よりも難しくなります。
もちろん話の内容はわかりますが、果たしてこれが何を表しているかを説明するには、中学生には難しいです。
それくらい、難解な話です。おそらく、この作品で大学のレポートは書けるでしょう。
芥川龍之介の「蜘蛛の糸 (ポプラ社文庫―日本の名作文庫)」を彷彿とさせる件が出てきたり、神が出てきたり、般若心経の一節が出てきたり、そもそも主人公の名前が「イカルス」だったり、いろんな宗教が入っています。


この曲は、結構長いお話なのですが、時間は意外と短く6分40分くらいです。
あ、長いか。
「星の王子様」よりは短いですね。でも、それだけ長さを感じさせないストーリーです。


「星の王子様」の宇宙の広大さを感じさせる優しいトラックも好きですが、この「イカルス」の危機感のあるトラックの方が好きですね。
細かいことを言うと、個人的には、スクラッチで「イカイカイカルスは〜」と入る部分はなんか笑えて、ちょっと好きです。


アルバムは、「星の王子様」や「イカルス」などの童話や寓話のような曲ばかりではありません。いわゆる社会批判の曲もあり、そこにもShing02ならではの表現も見られるのですが、そういう批判は、別にShing02が率先してやらなくてもいいのではないか、と個人的には思ってます。それは他の社会派アーティストがやればいいことで、Shing02には、こういう文学的作品や、誰もがその味わいに唸るようなクォリティの高い曲(音と言っていいでしょう)をもっと作ってほしいなと思います。


Shing02の作品にようやく出会えてよかったです。これもBIG Zのおかげ。ありがとう!