第318回 osumi『control (the spiritual matters)』

スピリチュアル・マターズ

スピリチュアル・マターズ


J-POPで、グループのメンバーがソロ活動をすることがあります。「そろそろ解散!?」と思い、実際に解散になってしまうケースもあります。ファンとしては、ソロ活動開始と言われると、ちょっと不安になってしまうところもあります。
HIPHOPでは、ソロ活動が特に多いです。空気として「一人でできて当たり前」というところもあるでしょう。ですが、MCが複数いるグループで一人だけゲストに呼ばれることが多かったりすると、他のメンバーはイヤな気持ちになったりしないのでしょうか。私はいつも気になります。


さて、SHAKKAZOMBIEのMC、BIG-Oはかつてソロの音源を出したことがあります。昔はosumiを名乗り、現在はBIG-Oですが、このアルバムではosumi名義となっています。ただ、曲によってosumiとなっていたり、BIG-Oとなっていたりするのですが、違いはよくわかりません。


まず、ジャケットから気になります。私はこんな感じのジャケット写真は好きですが、開けると、osumiの顔のドアップがあって驚きます。この写真の方で、HMVタワレコに並んでなくて良かった…。


osumiソロアルバムとはいえ、多くのアーティストが参加しています。多くの曲はDJ WATARAI(for KING OF DIGGIN' PRODUCTION!)プロデュースですが、大神つながりでDEV LARGEプロデュースの作品もあります。そのほか、DEJJA、TINAといった女性ボーカルが参加していたり、懐かしいところでCRO-OVI(KURO-OVI)が参加していたりするのですが、「PERFECT WORLD -Go Go King Recorders Remix-」で、地味にコーラスで、GOCCI、TAD'S A.C.(LUNCH TIME SPEAX)が参加しています。ちょっと声は判別しにくいです(さらに言うと、この曲で東京スカパラダイスオーケストラHICKSVILLEの援護射撃あり)。


私が気に入ったのは「UNSIGNED HYPE」です。この曲には、同じSHAKKAZOMBIEのIGNITION MANが参加しています。言ってしまえば、これはSHAKKAZOMBIEの曲と言っていいのですが、ソロの作品にも同じ仲間が参加しているのはどこかほほえましいですね(
実は、「NO LIMIT」のRemixもTSUTCHIEが担当しています)。


「UNSIGNED HYPE」には、IGNITION MANの他にもDJ OHKUBO(スクラッチ担当)と、SCISSORHANDS"5"MINUTESという名前のラッパーが参加しています。「こんな長くて、訳のわからない名前、誰?」「こんな名前をつける人はあの人しかいない!」と想像する人も多いでしょうが、あなたの予想通り、その人はMACKA-CHINです。珍しくリリックが歌詞カードに掲載されていますが、常人にはやっぱりわかりません。


どうしても気になったのは「YOU ARE THE ULTIMATE feat. TINA」です。トラックがZEEBRAの「結婚の理想と現実」(『BASED ON A TRUE STORY』収録)と同じ元ネタです(元ネタが何という曲か言えないのが、この私のダメなところ)。世界には無数にネタが転がっているとはいえ、偶然にも重なってしまうことはあります。TINAが参加していますが、後半にちょっとだけ登場します。この二人のカラミはもっと聴きたかったです。


とはいえ、この『スピリチュアル・マターズ』のいちばんの驚きは、とても1998年にリリースしたとは思えないクオリティです。今年リリースと言っても納得するくらい、新しい音です。