第273回 TOKONA-X + LATIN RAS KAZ「Fuck’em-でらわやー」

PHAT WAXX

PHAT WAXX


TOKONA-Xと他ジャンルとのコラボレーション作品ですが、コラボレーションというより、ついに異ジャンルまで制したか、という作品です。


この『PHAT WAXX』は、HIPHOPアーティストとテクノ・ハウスアーティストとのコラボレーション作品を集めたコンピレーションアルバムです。テクノ・ハウスのことは詳しくわかりませんが、HIPHOPアーティスト側を見ると、なかなか面白いメンバーが集まっています。
コラボレーションとあって、大半のアーティストはうまく融けてくれているのですが、このTOKONA-Xが全然融けあっていません。ふつうに、TOKONA-Xの曲です。


どういう基準で組み合わせが決まったかわかりませんが、LATIN RAS KAZとしては、はじめにTOKONA-Xの声をもらった時、どんな印象を持ったことでしょう。このインパクトある声…。


冒頭からTOKONA-X節が炸裂し、強烈な名古屋弁フロウを最後まで撒き散らします。だいいち、タイトルが「Fuck'em-でらわやー」です。「でらわやー」という名古屋弁の意味がよくわかりませんが、名古屋弁の持つ言葉の響きは、少なくともTOKONA-Xのフロウを後押ししています(注:北海道でも「わや」という方言は使います。「ダメ」とか「台無し」という意味です。「でら」はそれを強調する方言だと思いますが、北海道では使いませんね。北海道では「なまらわやだー」というものに相当するかもしれませんが、ちなみに言っておくと、北海道人はそれほど「なまら」を使いません。ご注意を)。


しかし、ちょっと見はコラボレーションに見えない曲でも、大きな視点で見れば、立派なコラボレーションです。つまりは、TOKONA-Xを生かしつつ、LATIN RAS KAZが大きく包み込んでくれたのです(うまく折れてくれたというか)。結果的は、うまく曲が仕上がっています。
その証拠に、コラボレーション作品ではあるのですが、TOKONA-Xの作品を集めた追悼盤『GIANT foot STEP』にも、この曲が収録されています。
なんだか、ライブ一曲目に持ってきたら、一気にお客さんを持っていくような曲です。