第172回 KRUSH POSSE「CHAIN GANG」

DANCE 2 NOISE 002

DANCE 2 NOISE 002


なんとなく中古CD屋をぶらついていたら、こんな古い作品を発見し、すぐに購入しました。KRUSH POSSEは、HIPHOPが日本に入ってきた初期にできたグループです。


1992年のCDですから、普段なかなか目にすることはありません。オムニバス盤ですが、このKRUSH POSSE以外の名前は、私はほとんどわかりません。辛うじて、サエキけんぞうさんくらいでしょうか。未知の世界です。
帯には「アンチダンスミュージックの為のダンスミュージック!」と書いてあります。もうすでに、ここからアングラ精神なのでしょうか。確かに、当時のダンスミュージックは、これらと違う雰囲気だったと思います。


さて、今から13年前の作品。他の音楽のジャンルなら、それほど色褪せないはずですが、日本のHIPHOPの歴史はほんの20年位で語れますし、盛んになってきたのは最近の話です。10年以上も前の作品となると、今と全然違います。少なくとも『The Best of Japanese Hip Hop』を聴いた時は、「(音が)古っ!」と思いました。


しかし、この「CHAIN GANG」を聴いた時はびっくりしました。全然、古くありません。さすがに、MUROの声はちょっと違いますが、とても13年前の作品とは思えません。なお、この曲中で、すでに「ECD」と「BOY-KEN」と叫んでいることにも驚きました。


ふと思ったのですが、当時のHIPHOPファンは一曲一曲をとても大事にしていたのではないか、と思います。当時のHIPHOPはアーティストの数も少ないですから、リリースされる音源も少ないでしょう。今では、毎週必ずと言っていいほど、誰かがHIPHOPの作品をリリースしているので、私も我慢できますが、これが月に一回とか三ヶ月に一回のペースだと、私みたいな“中毒者”はどうしたらいいのでしょう。
現在みたいに、CDを売るマーケットも確立していないでしょうから、ライブ、クラブに集まっては満足していたのでしょう。またしても、もっと早くHIPHOPに出会って、先行投資をしておけばよかった、と感じてしまいます。