第561回 MCU『nukumori』

nukumori

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KREVAはソロとしてBY PHAR THE DOPESTとしても活躍中ですが、一方、同じKICK THE CAN CREWのメンバーのMCUもほぼ同じ時期にシングルをリリースしています。
毎度、KICK THE CAN CREWのメンバーのソロ作品で書いていると思いますが、よくぞこの三人が集まって作品を作っていたなと感心します。
そのくらい、MCUの作品は他のメンバーの作品と違います。


もちろん、ラップの作品なのですが、ここまで来るといわゆるJ-POPの作品でしょう。
そういう意味では、HIPHOP初心者にとっては入りやすい、ありがたい作品です。
ラップはもちろん、トラックがあたたかくて、なおかつ美しいのです。
明らかに売れ線狙いの作品だと私は引いてしまうのですが、たとえ作為的であったとしても、このシングルは売れるのではないでしょうか。
悔しいくらいに、文句なしにいい曲です。


シングルには、盟友・TAICHI MASTERによる「サーフライダー」(『サーフライダー/6月の未完成』収録)のRemixも収録されています。オリジナルを壊さずに、浜崎貴司氏とMCUを見事に融和させているのはお見事です。


最近は、J-POPといわゆる「HIPHOP」の作品の境界線が曖昧になってきているように感じます。私としては、HIPHOPアーティストが市民権を得ていくのが嬉しいので、ある意味ではいい流れだと思うのですが、中には、節操なくラップを取り込んでいる作品もあって、「これでいいのかねえ」と思う曲もあります。
まあ、日本のHIPHOPも所詮はJ-POPなのかもしれませんが、なんでもかんでもラップを取り込めばかっこいいだろう?みたいな風潮は、ちょっと安易かなと思います。


MCUのように、J-POPとうまく調和させることのできるアーティストがもっと増えれば面白いなと思いました。
なんだかんだ言って、HIPHOPが盛り上がっているのはまだまだ一部の人たちですからね。「市民権を得てほしい」とはおこがましくて言いませんが、今でもはびこる”偏見”は、いつか無くなってほしいですね。
このブログが、少しでもその手助けになれば…