第516回 UZI『美髯公』

美髯公(びぜんこう)

美髯公(びぜんこう)


キャリアが長い割に、ソロアルバムはまだかまだかと待望されていた時が懐かしいですね。UZIも3枚めのアルバムになりました。キャラもフロウもまさに”漢”で、フルアルバムで”濃い”UZIを聴くのはキツいという意見も当初はありましたが、以降、客演作品を多くするなど、意図的かどうかはわかりませんが、工夫がありました。今作もゲストは多いですが、それ以上にトラックがバラエティに富んでいますから、飽きるということはないです。
それでは、感想を書いておきましょう。


02.It's My Thing
アルバムがはじまっていきなりUZIのソロ曲です。曲時間が短いというのもありますが、さっぱりと聴けるのは、D-Originu(T.O.P.)のトリッキーともいえるトラックでしょう。UZIもフロウをちょっと変えてきているいう見方もできますが、このトラックのおかげでさらっと聴けると思います。これでもまだ濃いという人もいるでしょうが、一昔前のUZIを聴いてみたら、そのあっさりさも理解できると思います。


03.JUMP feat. 山嵐
フィーチャリングゲストに山嵐を迎え、さらにプロデュースも山嵐です。言ってみれば、UZIがミクスチャー系のトラックに乗っているわけです。
「JUMP」というタイトルですから、さぞポジティブな歌だと思っていたら、違います。この曲は、マンガの「JUMP」アンセムで、JUMPに連載されているマンガ(新旧の)に関するキーワードがいっぱい出てきます。私は余り詳しくないですが、JUMPファンはとても楽しめると思います。少なくとも「Shoot & Shout」は「集英社」と私には聞こえます。


04.待て feat. MAGASA, JUN-G
MAGASAとJUN-Gを迎えた、いわゆる「WACK MCどけ!どけ!」な曲です。それにしても、JUN-Gの押韻UZIに負けていません。この人の作品をもっと聴いてみたいです。このテの作品は、名指しはないにしろ、dis対象のアーティストが誰かわかる表現もありそうですが、今回はどうでしょう。


05.現象(LUCHA REMIX)
LUCHAによるRemixで、もとはレゲエのコンピレーションアルバム『DANCEHALL HIGH!!Vol.2』に収録されています。さっきはミクスチャーですが、今度はレゲエです。一応、LUCHAによるRemixですが、レゲエの香りは相変わらず漂っています。レゲエのリディムにノリノリのUZIは見ものです。しかし、前回の『DANCEHALL HIGH!!』といい、なぜこのシリーズに続けて参戦しているのでしょうか…


06.MVP feat. 48.9(HAB I SCREAM, GAMA, RINO LATINA II)
DJ WATARAIプロデュースの48.9の作品で、このアルバムの核になっても良さそうな曲ですが、なんかこう、小さくまとまってしまった感があります。アルバムを最後まで聴いたとき、あまりこの曲の印象は残りませんでした。


07.衆議院議員平井たくや〜SKIT〜
ウソの議員さんかと思っていたら、本物の議員さんです。平井たくや議員にインタビューしています。このアルバムに入れる必要があったのかは、よくわかりませんが、本物の国会議員がHIPHOPアーティストのアルバムに参加した意義はあったと思います。私が個人的ツボだったのが、このSKITのプロデュースがDJ CELORYというところです。


08.WE愛
このブログで以前紹介したので、そちら(id:dmworldhh:20061025)を参考に。ちなみに、この曲のタイトルの読み方は「ウイイレあい」とのことです。


09.開放軍III feat. 神, KENTA5RUS, MASARU, 565, AKTION, DOB-ROC
ついに、開放軍も第三弾ですか。だんだんゲストが増えてきました。今回は、妄走族のメンバーを中心に、お酒を飲みまくっています。ラッパ我リヤの「ヤバスギルスキル」シリーズのように、ここまで来たら、IV、V…と続けて欲しいですね(まあ、一般的なシリーズものは第三弾くらいで終わるんだけどなあ)。


11.打つべし~明日のために~
これも以前紹介しましたので、そちら(id:dmworldhh:20060726)を見てください。


12.酒とマイクと男と女 feat.YOYO-C
タイトルから、河島英五さんの「酒と泪と男と女」からインスパイアされた曲だと思いますし、同じ歌詞も出てきます。私の中で勝手に「たまに不思議なトラックを作る」というイメージがあるINOVADERプロデュースですが、なぜかうまく説明できないですが、耳に残る曲です。せつないトラックではあるのですが、単に「せつない」という言葉で片付けられないトラックです。このアルバムの中では、ダークホース的な曲で、私はなぜか気になりました。


13.H.A.I.J.I.N 99X
同じくゲーム大好きのDJ OASISのプロデュースです(DJ OASISの活動久しぶり?)。大変申し訳ないのですが、言っていることがゲームオタク過ぎて、何のゲームを言っているのかさえ、私にはわかりません。たぶん、ネットのオンラインゲームだと思うのですが。


14.Pieces Of Cake feat. UBG(OJ FLOW, KM-MARKIT, ZEEBRA
アルバムの一番最後にUBGの曲を持ってきたのはわかりますが、これがどういうわけか、インパクトが薄いのです。ZEEBRAも参加しているのですが、不思議です。曲順を前に持ってくるか、曲をバラードみたいにするなどして、最後はじっくり聴かせる曲にしたら良かったような気がします。なんかもったいなかったです。


UZIの3枚のアルバムの中では、いちばんとっつき易いアルバムのようです。進化かどうかわかりませんが、1枚めと比べると、大分変化してきています。今回はいろいろなUZIを見ることができました。