第515回 Phobia Of Thug「Little Boy & Fat Man」

JAPANESTA -Little Boy & Fat Man-

JAPANESTA -Little Boy & Fat Man-


Phobia Of Thugの曲を紹介するのは、このブログでは初めてではないでしょうか。客演作品は紹介したことはあると思いますが、単独作品は初めてだと思います(あえて昔の記録を検索することはしない)。
Phobia Of Thugは、名古屋を中心に活動しているグループで、Mr.OZとGanxta Cueの2MCとDJ 4-SIDEが所属しています。いわゆる、ウェッサイでギャングスタラップのスタイルのグループです。


「Little Boy」と「Fat Man」は、単に二人のことを言っているわけではなく、広島と長崎に投下された原爆の通称からとっているようです。したがって、大まかに言えば、曲の内容も敗戦国・日本に関する話なのですが、それだけにとどまらず、いろんな意味を含んでいそうです。
また、曲中で軽く「渋谷の不発弾とは違うぜ」とさりげなく毒を吐いています(「渋谷で不発の原子爆弾」と言ったら、あの人たちでしょう)。


ただ、私が少しだけ不信に思うのは、「原爆=日本人のアイデンティティ」のように捉えているんじゃないかなあ、と思う点です。自分たちを原子爆弾と同じ名前を名乗るのは、皮肉としてもどうかな、と思ってしまいます。もちろん、彼らが原爆を皮肉どころかジョークとしても捉えていないことはわかりますが。
あまり、軽々しく使いたくない、使って欲しくない言葉です。


この曲では、まだMr.OZが何を言っているか聞き取れますが、なぜあのようなフロウなのでしょうか。これは、聴いたことのない人はぜひ聴いてみてください。おそらく「何を言っているか聞き取れない」がいちばん多い感想だと思います。よくもまあ、あのスタイルで歌い続けられるのか、不思議で不思議で。
まあ、裏を返せば、あの歌い方が出来るのは、Mr.OZくらいなものですから、オリジナルという面では評価できます。なんだかんだ言ってますが、私は好きです。


恐怖感を煽るような低音フロウでラップすることから、Mr.OZはきっと謎めいていて怖い人なんだと勝手に思っていたら、意外や意外、「大三元」という餃子屋さんのオーナーでもあります。テレビですが、先日、彼がしゃべっているところも偶然見ましたし、私の勝手なイメージとは裏腹に、実際はものすごく人の良さそうな人物でした。