第410回 ILLMARIACHI『THA MASTA BLUSTA』

THA MASTA BLUSTA

THA MASTA BLUSTA


TOKONA-XとDJ HAZUによるユニット「ILLMARIACHI(イルマリアッチ)」のアルバムです。1997年にリリースされたもので、クラシック作品と呼ばれていますが、私は比較的最近に聴きました。


驚いたのは、TOKONA-Xの声が若いこと若いこと(ゲストのEQUALも若いですが)。私は最近の作品から(MUROの「CHAIN REACTION」か?)聴き始めたので、例のフロウを期待していた私にとっては、ちょっと期待外れ気味だったのですが、このような作品が1997年に完成されたというのはすごいことです。今でこそ”地元”を押したHIPHOP作品はたくさんありますが、東京でさえようやく確立しつつあったこの時期に、あえて名古屋色を出しているのは、注目に値するでしょう。


全14曲収録ですが、私が耳に残ったのは「ドンファン DA MARIACHI feat. BLAZE(from ARK)」です。TOKONA-X作品にはあまり女性ボーカルものがありませんが(あのフロウから言って当然か?)、この曲でのTOKONA-Xは一聴の価値があります。この時期だからこそできた曲だと思います。


他にも、M.O.S.A.D.(当時はMASTERZ OF SKILLZ表記)のEQUALが参加した「For Da Bad Boyz & Ladies」や、お馴染み「Younggunz」(ただし、ゲストはShigechiyo & KENT(DESPERADO)。懐かしい名前ですね)や、代表曲「TOKONAIZM」「荒療治」も収録されています。
また、かつてHAZUとBEATKICKSを結成していたTWIGYも「今昔物語」で共演しています。TWIGYだけ今とほとんど声が変わってなかったので、どこか安心しました。現在はあまり名古屋色を出していないTWIGYですが、れっきとしたレペゼン名古屋のMCだということがわかります。


アルバムには一応歌詞カードがついていますが、TOKONA-Xの自筆なのか、字が汚くて何が書いてあるか読みにくいのが難点です(味は出てますが)。アルバムの最後に、シークレットトラックとしてTOKONA-Xのフリースタイルも収録されていますが、音声のレベルがここだけ突然大きくなりますので、無音部分に来たらボリュームを1レベル下げておくことをおすすめしておきます。


さて、この『THA MASTA BLUSTA』をふまえて、聴いて欲しい作品がもう一つあるので、それは次回に軽く紹介します。