第372回 山田マン「Hydromania Gentlemen」

No Doubt!

No Doubt!


GANXSTA D.XとDICE-Kが率いるPimp On Attackのコンピレーションアルバムに収録されている異色の曲です。全10曲のうち、ほとんどが「これぞ日本語ギャングスタ・ラップ」という曲が連なる中、この曲は異彩を放っています。


一応、山田マン名義になっていますが、山田マンはプロデュースに徹し、EMSHEENとHOAGRAからなるHYDROMANIA GENTLEMENの曲です。
「HYDRO」と「はいどーもー」の押韻からはじまるという、売れない漫才師なみの入りで、これがギャングスタラップとはとても言えません。リリックも押韻にとことんこだわっており、ギャングスタではありません。
これも山田マン制作のトラックが原因なのですが、山田マンがラップしてもしなくても、これは走馬党の作品と言っていいでしょう。この曲を機に、走馬党に入ったらどうでしょうか。


ふつうリリックは、自分の中で伝えたいことがまずあって、韻を踏みつつリリックを綴ることが多いと思いますが、たまに、「押韻」のために作ったとしか思えない曲もあります。この曲も後者だと思いますが、設定や話の展開がぶっとんでいながらも、強引に話が通じているのが面白いと思っています。私が日本語ラップにハマった理由の一つが、「押韻だけに注目して作った物語を想像するとすごいことになる」です。日本語ラップは、言葉遊びなのです。


この共演をきっかけかどうかわかりませんが、山田マンのソロアルバム『MESSAGE』にて、「財宝 feat. HYDROMANIA GENTLEMEN」で共演しています。この「財宝」を聞いても、やっぱり走馬党メンバーの曲にしか聞こえません。