第353回 姫『一暦』

一暦

一暦


女性MCの姫の3枚目のアルバムの作りがちょっと面白いので紹介します。昨年、BENNIE Kが『Japana-rhythm』という日本の四季をテーマにしたアルバムをリリースしましたが、姫の『一暦』は、まさに「暦」になっています。
それは、曲のタイトルを見ても一目瞭然で、全部で12曲収録されていますが、

  1. 姫始 2006
  2. Get Outta Here! feat. DABO
  3. Be A Lady
  4. いろはうた
  5. 五月五日
  6. IN THE RAIN
  7. 七月七日
  8. 八王子祭 feat. 三善善三, JUN-G, LOOZ, 祭華United
  9. 不夜城
  10. 紅葉
  11. 秘めごと3

と、月にちなんだタイトル(曲)になっています(よいこのみんなは「姫始って何?」とお父さんお母さんにきかないでね)。


今回、気になったのは2曲。2曲目のDABOをフィーチャーした「Get Outta Here!」は、なんとラッパ我リヤのQのプロデュース作品です。プロデューサーに徹するのかと思いきや、冒頭に"Background Vocal"として登場します。"Background Vocal"とは名ばかりで、短いですが、きっちりラップしてますので、事実上「feat. DABO, Q」です。
ラップスタイル同様、非常に"太い"トラックで、Qらしさが出ていて、私は好きです。こんな太いトラックでも、しっかりモノにできる女性MCは、姫のほかにはなかなか少ないのではないかと思います。
もう一曲は、8"月"の「八王子祭」です。三善善三プロデュースの、これまた太い音です。祭らしく、コシの強いマイクリレーものですが、気になったのは、祭華(まつりか)Unitedです。こんなにクセのある女性のラップははじめて聴きました。ちょっと人を小バカにしているんじゃないか?と思ってしまうほど特徴的です。


特に、今回は「太い曲」について書きましたが、姫のラップスタイルは、根底に和なセクシーさを感じさせます。自らの名を堂々と「姫」と名乗る自体すごいと思うのですが、CDジャケットも和を感じさせます。先に挙げた以外のプロデューサーにG-M-KAZ、DJ BASS等を迎えたところなど「ギャングスタ・ラップ」な面もありますが、「大和撫子」の部分も決して忘れていません。


アルバムは3枚目になりますが、姫の客演作品は意外に多くありません。もっと姫のラップを聴きたいと思っているファンもたくさんいることでしょう。