第342回 DABO『THE FORCE』

THE FORCE

THE FORCE


前回(id:dmworldhh:20060523)紹介した珍淑淑なる翁は、今度はDABOのアルバム『THE FORCE』のSkitに登場します。


同じNITROのDELIに同じく、ハイペースで作品をリリースしているDABOももう4枚目のアルバムになりました。SKitを含む全23曲、およそ74分フルの内容で、しかも、客演一切なしという力作です。ソロでこれだけの量をこなすのは大変なのですが、それも可能にするのはDABOの力量でしょうか。
過去のアルバムに比べると、ユーモラスな作品がなかったり、客演がなかったりするので、良く言えばストイックな印象を受けますが、少々単調な印象もあります。
しかし、その分、全7曲のSkitがエンタメ性のあるもので、アルバム全体の緩急をつけています。


そのSkitの6番目で、珍淑淑が登場し、嘆いています。「MORE DEEP」と比べるとユーモアは一切ありませんが、嘆く様子(演技)はすごく上手いです。


Skitの5番目「〜わかものたち〜」は、DABOの実体験からでしょうか、ミーハー気味の若者たちが登場しますが、リアルな感じが出ています。今回のSkitの中ではいちばん面白かったです。


曲では客演はないですが、Skitにはゲストが登場するものもあります。「Skit 2〜アテンション!〜では、機長役でKASHI DA HANDSOMEが、「Skit 7〜ふれてごらん〜」では、あのTinaがマッチ売りの少女役で登場します。Tinaの演技は必聴ものですが、オチはどこか下ネタチックです。


Skitのことばかり書いてしまいましたので、肝心の曲の方にも触れておきましょう。
このアルバムの曲のタイトルをずらっと見た時にニヤッとした人は、日本語ラップファンですね。
「おはようジパング」、「根こそぎハイジャック(のっとり'06)」、「The Light (Don't Turn Off)」など、確信犯的タイトルが何曲かあります。
なんのことかわからない人は参考に↓
般若『おはよう日本 (CCCD)』『根こそぎ (CCCD)』、BUDDHA BRAND病める無限のブッダの世界 ― BEST OF THE BEST (金字塔)』、MICROPHONE PAGERDON'T TURN OFF YOUR LIGHT
タイトルだけでなく、各曲のリリックにもニヤリとさせられる表現が多々あります(「笑止!(U Can't Front)」における「俺ならば 俺ならば〜ゴールデン枠」あたりは、あの曲ですね)。


私が気になった曲は「カルマのりこえて」です。ある日本語ラップクラシック作品から、声ネタがサンプリングされています(余談ですが、冒頭は「世界ふしぎ発見!」かと思いました)。


今作はDABOのソロ作品ばかりですが、プロデュースはいろんな人が携わっています。タイプライターが手がけた「根こそぎハイジャック(のっとり'06)」やD.O.Iの「THE FORCE」、DJ TAIKI a.k.a GEEKの「F××k You(誰にともなく)」もいいのですが、長丁場のアルバムの最後を飾るDJ WATARAIの「ここからどこまでいこう(Here We Go)」が傑作です。人の一生の壮大さを感じさせます。


4枚目のアルバムは「今回は、ストイックに来たか」という感想ですが、次回はもう少しエンターテイメント性があっても良かったかな、と思います。しかしながら、先ほども書きましたが、改めてDABOの実力を感じさせるアルバムです。