第299回 童子-T『better days feat. 加藤ミリヤ, 田中ロウマ』


HIPHOPアーティストでは珍しいアンプラグド・ベスト・アルバムWARABEST~THE BEST OF 童子-T~』をリリースする童子-T
シングル『better days feat.加藤ミリヤ、田中ロウマ』に収録されている2曲は、ベストアルバムにも収録されるようで、おそらくシングルと同じバージョンで収録されるのでしょう。
しかし、この2曲が明暗を分けました。


勝利の女神』で、加藤ミリヤの才能を早い段階で発掘した童子-T加藤ミリヤに加えて、田中ロウマもゲストに加えた「better days feat.加藤ミリヤ、田中ロウマ」は、良いと思います。
聴く前はパーティーチューンだと思っていましたが、4月からはじまる男女の出会いから別れを、「4月〜」「5月〜」というように分けて、いわば日記風に綴っています。これがせつないリリックで、この4月から遠距離恋愛を始める人は聴いてはいけないと思います。「better days」というのは過去形なんでしょうね。


加藤ミリヤはhookのみですが、やはり、加藤ミリヤがいい仕事しています。hookの印象が強くて、この曲を耳にしたら「加藤ミリヤの曲では?」と思う人も多いのではないでしょうか。アンプラグドのトラックも素晴らしいです。


たまたま、いっしょにカミさんと聴いていたのですが、最初、誰の歌か分からなかったようで「あまり童子-Tぽくないね(ぽくないけどいいね)」と肯定的に捉えていました。ライミングはしっかりしている人の作品でありながら、ちょっと”崩した”作品が受け入れられるのは、私は嬉しいです。ぜひ、多くの人に聴いてもらいたいし、満足できる作品だと思います。


難点を言えば、田中ロウマ(一部では、田中ヒロマサと書かれているが)の起用方法です。加藤ミリヤの女性コーラスの他に、男性コーラスが欲しかったのはわかりますが、この曲では、わずかしか田中ロウマは登場しません。あの短さでは、さすがに凄い新人なのかどうかわかりにくいです。
加藤ミリヤ」に「田中ロウマ」だと、なんかのコンビみたいですが、加藤ミリヤの浸透力を見る限り、田中ロウマもガンガン行くと、童子-T兄さんは思っているのでしょう。今後の田中ロウマも注目したいと思います。


さて、「better days」は良かったのですが、もう一方の「世界はおまえの手に」のアンプラグド・バージョンがどうも。
童子-T出世作なので収録されることに異論はありませんが、この曲は残念ですが、オリジナルが良いです。


以前に紹介した「In-mail feat. 千輪」(id:dmworldhh:20060121)や「better days」はアンプラグドでも面白い作品になりましたが、その他の作品はどうなったのでしょうか。『WARABEST~THE BEST OF 童子-T~』を聴くのが楽しみです。