第198回 DJ BEAT『FROM TOKYO TO TOKYO』

FROM TOKYO TO TOKYO

FROM TOKYO TO TOKYO


なんとはなしに昔の曲を探していたら、ちょっと懐かしいアルバムが出てきたので、紹介したいと思います。
それはDJ BEATのアルバム2枚なのですが、まずは『FROM TOKYO TO TOKYO』から紹介します。


最近、この2枚のアルバムをたまたま聴いた時に、ちょっと懐かしい気がしました。確かに、個人的にお世話になったアルバムなのですが、だからと言って、それにまつわるはっきりした思い出があるわけではありません。さらに、このアルバムがリリースされてしばらく経ってから手に入れたはずなのですが、アルバムを聴くと「この頃のHIPHOPいいな」となぜか感じてしまいます。


日本語ラップを紹介するブログなので、主に日本人アーティストがフィーチャーされている曲を挙げますが、しかし、DJ BEATの作品が、もしかしたら、「インストゥルメンタルや英語のラップもかっこいいかも」と思わせた最初の作品かも知れません。インスト作品もかっこいいので、ぜひそちらも込みで聴いて欲しいと思います。


アルバムの冒頭は、シングルでもリリースされている「DJ’z Unity(asin:B000051TAN)」から始まります。指折りのDJたちがそれぞれDJプレイを次々決めていく作品で、いきなり聴かせます。シングルは、UBGが集まった「MIC TECHNICIAN」をさしおいて、こっちをA面に持ってくるのがすごいところです。DJプレイの順番は、おそらくタイトルに書かれている名義の順番だと思いますが、ちゃんとそれぞれ自己主張していて、自分の所属しているグループの音源からスクラッチを決めていたりします。


4曲目には、RHYMESTERによる、その名も「B.E.A.T」が収録されています。宇多丸師匠、Mummy-Dともにソツなくこなしている感じです。アルバム全体を通して、それほど目立った曲ではないですが、いわゆる隠れた名曲でしょう。


10曲目は「RENEWAL LOVE feat. RIM & F.O.H」です。RIMは女性ラッパーなのですが、この曲はめちゃくちゃかっこいいです。F.O.H(今は「Full Of Harmony」ともともとの名前に戻りましたが、私はまだ「F.O.H」と言ってしまいます)のコーラスも冴え渡ります。意外に、このアルバムではいちばん好きかもしれません。リリックになぜか格闘技に関する言葉がたくさん出てきます。


12曲目は「MIC TECHNICIAN feat. ZEEBRA, UZI & KM-MARKIT」のUBGによる
マイクリレーです。シングルではカップリング扱いになっていますが、聴く価値は十分にある曲です。特にUZIがいるからでしょうか、アルバムの中でも割と前面に出ている曲です。また、この時からすでに、KM-MARKITもかっこいいです。確かなスキルを感じさせます。


14曲目「I’M IN NEW YORK」には、THE BEAT KNUCKLESとともに、大ベテランのCRAZY-Aが登場します。日本のHIPHOP創成期を支えたアーティストが揃い、どこかどっしり落ち着いた、大人な感じの曲に仕上がっています。


もう一枚のアルバムは、次回に紹介しましょう。