第143回 “E”qual『THE ROCK CITY〜M.O.S.A.D.’S TOWN〜』

The Rock City 〜M.O.S.A.D.'s Town〜

The Rock City 〜M.O.S.A.D.'s Town〜


“E”qualも相当音源をリリースしてきましたが、このアルバムはまずタイトルがいいです。自分(たち)のテリトリーをCITY、TOWNと表したと解せばいいのでしょうか。豪華な客演陣もふだんからなじみのあるゲストを配置しました。”E”qualの作品ですが、まるで”E”qualを中心とした名古屋HIPHOPのコンピレーション・アルバムみたいです。


なかでも、注目作は「NO.1 HOST MC FEAT. KEISHI」とアルバムタイトルになっている「THE ROCK CITY-M.O.S.A.D.’S TOWN- FEAT.AKIRA(M.O.S.A.D.)」でしょうか。
自分の仲間であったKEISHIとTOKONA-Xが相次いで若くして亡くなりました。私の周りでは、まだ友人や仲間が亡くなったりはしていませんが、信頼しあっていた仲間が急にいなくなるのは、表現できないほどの辛さがあると思います。2曲とも2人に対する思いがこめられており、そのリリックはまさに感動です。


そして、「THE ROCK CITY-M.O.S.A.D.’S TOWN- FEAT.AKIRA(M.O.S.A.D.)」の方は、亡くなったTOKONA-Xを偲ぶだけでなく、これからにもつながる作品になりそうです。実は、この曲が強烈なdisが含まれており、同じ名古屋のアーティストをdisっています。
確かに、名古屋はいろんなタイプのHIPHOPアーティストがいるので、いつかこういうことが起きるとは思っていました。リリックの中には「手作り家族」「天狗」「忍者」、果ては「小枝」まで出てきます。
「手作り家族」「天狗」はタイプが反対なのでわかりますが、「忍者」もその対象とは。しかも、「小枝」というBIG NAMEまでケンカを売りました。「小枝」は現在も相変わらずノリにのっているアーティスト。結果的には名古屋を捨てたと採られてしまった「小枝」も言い分があるとは思うのですが、東京-名古屋のbeefになれば、これもまた面白くなりそうです。


亡くなったTOKONA-Xについて、いつまでもメソメソ言っても先には進みません。過去のことも触れていますが、これからの未来、そして、名古屋の現在がわかるアルバムで、これは評価の高いアルバムではないでしょうか。