第511回 Rino Latina II『II』

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今年の2月に発売されましたが、私は最近ようやく手に入れました。このブログでも紹介した『TAKI183 TRACKS』(映画「TAKI183 [DVD]」のサントラ盤。Rino Latina II名義のようです)から何曲かRemixが収録されていますが、このボリュームで2500円なら、やはり「買い」の一枚です。
キャリアの割にようやく二枚目のアルバムですが、前回の『カルナバル・オブ・リノ』と比べると、よりRinoらしく”ラテン度”が増しています。どちらも甲乙つけがたいです。


II』は、見事に前半と後半で雰囲気が違います。前半は、じっくり聴かせる曲が続きます。「君以外何もいらない」「月影のチーク」などは、とてもHIPHOPとは思えないタイトルですが、Rinoのささやくようなラップは、新境地と言っていいのではないでしょうか。トラックとの相性も良く、Rinoにしかできない、渋くてかっこいいラブソングです。
この歌うようなスタイルを積極的に取り入れたのも今作の特徴で、ついに「舌銃男のテーマ」(これは「タンガンマン」と読みたい。参考:『続・悪名』)では地味に歌っております。ちょっとびっくりすると思います。


今回はゲストを多く起用しており、一曲あたり三人も四人も参加している曲もあるのですが、どの曲もうるさくないのが不思議です。別に、誰も目立たなかったわけでは決してないのです。例えば、このアルバムを最後まで聴いて、実はYOU THE ROCK★が参加していたのをちゃんと覚えている人は少ないのではないでしょうか。
UZIG.K.MARYANなども参加しているのですが、アルバム全体の流れにうまく融けこんでいるので、これだけ濃いメンバーが多数いても、誰一人浮いていないのです。
一つの工夫としては「バビロンに告ぐ feat. 48.9」で、HAB I SCREAMとDJ PAT→504、UZI、GAMAとたくさん参加していながらも、これらのゲストはまったくのバックアップに回り、ずっとRinoがメインで歌いつづけるのです。それにしても、48.9(「しじゅうはってんきゅう」と読む)の作品も増えてきましたね。


最近の国内のHIPHOP作品は飽和状態で、あまりどれも代わり映えしないように思えてきているのですが、このアルバムは他の作品と一線を画していますし、RINO LATINA IIでしかできないと思います。
もしかしたら、某雑誌の今年2006年のベストアルバムにノミネートするということもあるかもしれません(ただし、例年の傾向から言うと、こういう作品は上位に行かないので、あくまで「ダークホース」ということで)。聞けば聴くほど味わいのあるアルバムです。