第215回 餓鬼レンジャー『GO 4 BROKE』

GO 4 BROKE

GO 4 BROKE


餓鬼レンジャーも気付けば、相当な枚数のアルバムをリリースしてきました。今回の『GO 4 BROKE』は、最新作です。
アルバムのクレジットを見ると、Pocyomkin、Yoshi、DJのHigh SwitchとGP以外にもいろんな名前が出てきます。これは、曲によって随所で変名を使っているためで、一時期のGORE-TEXを思い出します。


また、前回のアルバム『ラッキー・ボーイズ (CCCD)』で途切れていたシリーズものが復活しました。
「ラップ王子さん」から、今回は「ラップおじいちゃん」になりました。KREVAが参加していますが、ラップのヴァースは案外短いです。フィーチャリングされていて、同じく短いヴァースのAMIDAのリリックがちょっと面白いです。
そして、クチコミシリーズも一気に6000000000(60億)に数字が上がりました。「クチコミ5000」(『Upper Jam』収録)→「クチコミ8000」(『DA-PONG』収録)から随分増えました。
もちろん、DOSMOCCOS作品も収録されています。


最近の餓鬼レンジャーの作品から、ラップも披露しているDJ High Switchですが、慣れてきたのでしょうか、スタイルも変え、うまくなってきました。


餓鬼レンジャーのアルバムと言えば、エグいくらいのエロですが、今回もエロ作がちゃんとあります。「芋茎の涙」(芋茎は「ずいき」と読む)というSkitがあるのですが、てっきり戦時中の食糧難に関係する曲かと思えば、全然違います。男子中高生にはたまらないSkitですが、残念ながらSkit自体は短く、続いて「國山國蔵(Featuring Voice: 国枝邦子)」という謎めいた曲になります。


私なりの注目曲を挙げるとすれば、「それいけ!NEET君」でしょうか。今話題のニートに対してのメッセージソングなのでしょうが、そこまで立派な曲でもないと思います。とりあえず、EVISBEATSのトラックが(いい意味で)むかつきます。いろんな日本語ラップがあるとはいえ、ここまで気に障るトラックはないのでしょうか。


餓鬼レンジャーと言えば、イロモノの曲が多いですが、今回はじっくり聴かせる作品もあって、ちょっとズルいです。HI-Dとの「Up in the sky」はかっこいいです。餓鬼レンジャーというより、うまい方向にHI-D寄りの作品になりました。
アルバム最後を飾る「#508 feat. ahhco」は餓鬼レンジャーぽくない、せつないラブソングです。ahhcoのボーカルも素晴らしく、映画の主題歌になりそうな曲です。
アルバム前半でさんざん面白おかしく遊んでおいて、最後の2曲でぐっと締めてくれます。