第210回 般若「あひぃ」

根こそぎ        (CCCD)

根こそぎ (CCCD)


HIPHOPには、ストーリーのようになっているものがあって、韻を踏みつつも、リリックが物語風になっているものがあります。いろんな作品がありますが、中でも、般若のストーリーものはうまくできています。
実体験があるからかわかりませんが、リリックが生々しく、説得力があります。アルバム『根こそぎ (CCCD)』にはもう一つ、ストーリーものの「やっちゃった」が収録されていますが、変なフロウと「あひぃ」という言葉がどうも耳に残り、今回は「あひぃ」を挙げました。


般若は独特のオーラがあって、ちょっとこわそうに見えますが、作品は案外ユーモラスだったりします。般若という人間を見て、まさか「あひぃ」なんていうタイトルの曲を作るとは、とても想像できません。


実は、今回は、まるまるアルバムごと紹介しようかと悩みました。こういうユーモアの作品もありますし、般若真骨頂の固有名詞出しまくりのdis曲もあります。かと思えば、「MY HOME feat. 秋田犬どぶ六」や「心配すんな」みたいな、ど真ん中のメッセージソングもあります。このアルバムを聴くと、般若という人はとても正直なアーティストなんだなと感じます。固有名詞も出てきますが、それだけ自分の発言に責任を持っているし、自信を持って言っているんだなと、あらためて感じます。いろんな意味をこめて、面白いHIPHOPアーティストです。