第205回 リアルスタイラ『スペシャリスト』

スペシャリスト/物語

スペシャリスト/物語


最近、私が手にしたCDからです。1997年(もう9年前と言わなくてはいけなくなりましたね)にリリースされたリアルスタイラ(REALSTYLA)の『スペシャリスト/物語』です。


リアルスタイラは、ラッパ我リヤのQ(Mr. RR)と三善善三(MMCミヨシ)によるものですが、当初、ラッパ我リヤには三善氏がいたので、ラッパ我リヤの前身みたいなユニットです。


何にせよ、どちらも走馬党所属ですから、韻踏みまくりです。曲だけでなく、CDの帯や裏ジャケまで韻を踏んでいます。


二人は、最初の短いIntroが韻フェチぶりを聴かせてくれますが、2曲目の「スペシャリスト」がまた強烈です。ふつう、押韻にこだわれば、文章の意味が通じにくくなるのですが、歌詞カードを見ると、ちゃんと意味が通るところがすごいです。残念なのは、リリック中にはっきりとした放送禁止用語(性的な方じゃなく)が入っているので、放送することができいないことです(そもそも、この曲のリクエストをするリスナーがいるかどうか微妙なところですが)。ちなみに、後のさまざまな作品で、この曲中から多くのリリックがサンプリングされています。


Skitのような「Real Styla」をはさむと、次は「物語」です。当時の社会問題を創作した物語風に語っている社会派メッセージソングです。9年前なので、若干今とズレている場所がありますが(例えば、この曲では「いじめ」について歌っていますが、最近はいじめ問題を語ることが少なくなりました)、今でもストレートに理解できる部分もあります。9年経っても、日本はあまり変わっていないかのようです。
こういうメッセージソングは使う単語が限られてくるので、うまく韻を踏みにくいものですが、創作物語に一度次元を変えてリリックを書いているせいか、がっちり韻を踏むことができて、かつ伝えたいことも伝わってきます。


リアルスタイラ初期の作品で、この後もアルバムを2枚出すのですが(『爆弾発言』、『前代未聞』)、純粋に押韻を味わえる作品です。