第161回 G.K.MARYAN『THE G.K.M』

THE G.K.M

THE G.K.M


ZEEBRAの『THE FIRST STRUGGLE』あたりから始まったと思いますが、このところ、いわゆる“10年選手”と呼ばれる多くのHIPHOPアーティストがベストアルバムを出してきました。このベストアルバムというのが微妙なところで、今でも過去の作品が手に入りやすいアーティストのベストアルバムを昔からのリスナーがわざわざ買うかというと難しいところです。


G.K.MARYANもとうとうベスト盤『THE G.K.M』をリリースしましたが、まさにこのパターンです。2枚組というボリュームですが、主に『EGO RAPPIN’』、『Keep On Movin’Vol.1』、『Keep On Movin’2』の三枚の作品からです。三枚を買う値段よりは安いですが、だったらこの三枚を買ったほうがいい気がします。ベスト盤に収録されてない曲もあるからです。曲順もリリースされたCDごとに固まっていますから、どこかもう一工夫したいところです。


とはいえ、このベスト盤を聴けば、G.K.MARYANを十分堪能できます。こうしてみると、DJ YASやDJ MISSIEという馴染みのほかに、MACKA-CHINDEV LARGE、INOVADER、DJ KEN-BO、DJ BEN THE ACE、MUROなど、たくさんのプロデューサーによる作品が多いとわかります。


それから、もう一つファンを泣かせるのはベスト盤に新曲を収録することです。「それはすでにベスト盤と言えるのか?」と思ってしまいますが、このベストアルバムにもRemixと新曲が一曲ずつ収録されています。


過去のフルアルバムの作品をそのまんま収録するのもいいですが、何曲かはフューチャリング作品だったり、アナログだけ収録されている作品だったり、手に入りにくい作品などを収録したりして、どのファンも欲しがるベスト盤に収録してほしいですね。


しかし、このG.K.MARYANの場合、直後にフルアルバム『SOUL ON KEEP』をリリースしていますから、単純に一区切りのための作品集だったのかもしれません。