第110回 ラッパ我リヤ『RAPPAGARIYA』

RAPPAGARIYA

RAPPAGARIYA


ラッパ我リヤの5枚目のアルバムは『RAPPAGARIYA』というタイトルで来ました。
私は最初「このアルバムはどうか?」と思いました。しかし、たまたまFMラジオを聴いていて気づきました。最近HIPHOPのような、HIPHOPでないようなラップの曲が案外多く出てるんだなということ、音が軽々しく浮ついているということ。そして、そういう曲が市民権を得ていて、売れているということ。
そういうことに気づくと、やっぱりこのアルバムはすごいです。同じラッパ我リヤの他のアルバムに比べると、正直言って、他のアルバムの方が良かったりしますが、しかし、他のアーティストと比べると、やっぱり違います。
Qの太いラップをはじめ、音が重いです。
この重たさは敬遠されるかも知れませんが、私は好きです。


1、ブチcom.
面白いタイトルですが、いきなり先制パンチです。正確に書けば「ブチ.com」のような気もしますが。「ラッパ我リヤ」なのに「ラッパ我リア」と書かれるのはやっぱり気にしてたんですね。
4、BIG PARTY
先行シングルとしてリリースしてもおかしくないくらい、アルバムの中の核になる曲だと思います。途中、SHAKKAZOMBIEの昔の作品からOSUMI(BIG-O)の声がサンプリングされていますが、聞き方によっては、バカにしてるような使い方です。私は笑いました。
6、ヤバスギルスキル Part.7 feat. DABO
とうとうPart.7まで来たこのシリーズ。足掛け10年でしょうか。これからも続けてほしいですね。前回のILL-BOSSTINOは驚きましたが、今回はDABOが参加。意外性はないですが、ソツなくこなしました。Part.4に参加したTWIGYの声のサンプリングから始まるのですが、こういう使い方なら、これからも同じ使い方ができますね。
9、SKIT
バカなスキットです。こんなことをやるのは山田マンだろうと思ったら、やっぱりそうでした。
10、R指定 feat. RINO LATINA II
ラッパ我リヤRINO LATINA IIの共演です。これはびっくりです。でも、どうせならヤバスギルスキルの方で共演してほしかったです。
11、夢だったのね
タイトルから分かる通り(?)、押韻にこだわったおバカな曲です。しかし、ここに三善善三が参加していたら、もっと面白かったと思います。三善の見た夢は、どんな夢なのでしょうか。
13、JAPANESE DANCE feat. Akeey, MINESIN-HOLD
やっぱり制作は山田マンです。ずばり”日本の踊り”で、言ってみれば老若男女誰でもすぐに踊れますが、さすがに町内会では踊れないでしょうね。走馬党のMINESIN-HOLDはわかるのですが、 Akeeyって誰だ?その謎は最終曲でなんとなくわかります。
14、FOR LIFE feat. ARK, PAULEY, 三善善三, Akeey, MINESIN-HOLD, SKIPP, DJ TANAKEN
ラッパ我リヤのアルバムの最後の曲は走馬党で締めるというパターンは固定ですね。ここでわかるように先ほどのAkeeyは走馬党の新人だそうです。さて、そうなると、あの人がいません。あの人はどこへ?なぜみんなグループ名ではなく個人名で書かれるのか?
ちなみに、この後、シークレットトラックで、この曲のRemixが収録されています。


全体を通すと、前作の『RG A.I.R.4TH』と音が違います。山田マンのフロウもまた戻りました。”制作”は、DJ TOSHI以外に山田マンとQもやっていますが、DJ TOSHIのスクラッチが冴え、決して「裏方」に甘んじていません。
ラップの構成は、基本的に山田マンとQで1ヴァースずつで、それに二人で1ヴァースが加わったりしますが、二人担当のヴァースに工夫が見られます。単に前と後ろで半分ずつに分けていません。
内容もパーティーチューンあり、メッセージものあり(「NO WAR」)、バラエティものありといった感じで、確かにこれぞ『RAPPAGARIYA』というアルバムに仕上がりましたが、私はこれが「RAPPAGARIYA」全てではないと思います。今現在のラッパ我リヤを切り取ったようなもので、これ一枚でラッパ我リヤは語れません。
そういう意味では、名前負けしたアルバムかもしれませんが、硬派なHIPHOPが好きな人は満足できると思います。このアルバムも聴いてほしいですが、ぜひ他のアルバムも併せて聴いて下さい。